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| 世界的なインフレと景気減速が進む中で、2009年度予算の編成が始まった。7月29日に決まった概算要求基準は、一般歳出の伸びを今年度比1・1%増にとどめる一方、政策的経費の削減で捻出する「重要課題推進枠」3300億円(08年度500億円)を財源に、医療、温暖化、成長力強化策などに重点配分するという内容だ。焦点とされた社会保障費の定額削減(2200億円)や公共事業費の定率削減(3%減)は引き続き実行し、形の上では財政再建に向けた「抑制型」予算となっている。 ただ、歳出項目を見ていくと、多くの重要課題が「検討課題」として先送りされたことが分かる。例えば、09年度から始まる基礎年金の2分の1国庫負担は、そのための所要財源2・3兆円が厚生労働省の要求枠から外れた。「財源のめどが立たない」(財務省)ためとされるが、今秋からの税制改革で議論するにしても、早々と消費税「増税」を先送りした今、財源の手当てはきわめて難しい。そのため、自民党内では、国庫負担引き上げの時期そのものを半年〜1年延ばすという姑息な議論まである。 2分の1国庫負担は、04年の年金制度改革で決まったこと。その国庫負担引き上げを前提に現行の年金制度の維持存続が決まっている以上、目先の財源がないからといって先送りすれば、年金の将来「給付と負担」にも当然狂いが生じてくる。年金不信が一向に収まらぬなか、政府が苦し紛れの「公約違反」に踏み切れば、政権の致命傷となるだろう。 一方、昨年来あれほど議論された道路特定財源については、一般財源化は決まったものの、一般財源の規模や使途など細かい点は何も決まっていない。道路財源からの移転分は社会保障財源として有力視され、場合によっては2分の1国庫負担の財源となる可能性もないではない。しかし、ここでも福田首相の影は薄く、道路族議員や国交省、地方自治体は「道路財源死守」を唱え、「道路から福祉へ」舵を切る気配などつゆもない。 財政再建目標の11年度基礎的財政収支均衡についても、最近怪しげな議論が出てきた。政府の試算改定で11年度には赤字拡大が見込まれることから、「目標年次を繰り下げればよい」という「財政再建棚上げ」論だ。先に決まった原油高対策としての漁業者向け補償策はそのはしりかもしれない。 概算要求はあくまで予算編成の前段階にすぎない。税制改正や景気対策などと絡み合いながらこれから年末に向けて動き出すが、要求基準を見る限り、「生活者重視」を看板とする福田カラーは依然はっきりしない。重点化枠を拡大したからといって、それだけで予算にめりはりが付くわけではない。要求官庁は、本要求のマイナス分を別枠で必死に確保しようとするからだ。 「政策」を官僚にまる投げしたまま、いくら知恵を絞っても自ずと限界がある。「重点化枠」の拡大など、与党や各省の利害相克を横目で見る財務官僚ならではの発想だろう。「政治」がもっとリーダーシップを発揮し、理念と政策を磨かなければ何も変わるまい。 |
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