![]() ユリシス 代表取締役・久松将人さん |
|
|
幸運のチョウ「ユリシス」の伝説
この不思議な経験の翌日、有限会社ユリシス代表取締役・久松将人(一九七〇年生まれ)は、偶然、ケアンズの街角のレストランで、現地オーストラリア人のファミリーが、お祖父さんの誕生日を祝う二十名程のパーティー会場の脇を通った。その会場のテーブルが、色とりどりの風船で飾られていた。そのバルーン(風船)が醸しだす、和気あいあいのアットホームな雰囲気が、久松の脳裏に焼きついた。 帰国して、インターネットで調べてみると、バルーンデコレーションと言われるモノだった。業界最大手、クオラテックス社の日本代理店を捜し当て、早速スクールに入学した。 そもそも、久松は、筑波大の体育専門学群で学業のかたわら、居酒屋のアルバイトをした。卒業後、横浜の会社に就職したが、半年で辞め、つくばに戻った。名古屋の実家に戻ると、公務員の父に甘えてしまうと考えて、つくばの友人の家に居候。そして、学生時代のアルバイト経験を生かして、小さな居酒屋を筑波大の近くに開店した。久松は、なぜか幼少の時から独立心が強く、自分で事業を立ち上げることをずっと考えていたのだ。 そして、オーストラリア旅行の後、バルーンデコレーションの世界に魅せられた久松は、都内のバルーンスクールに通い、夕方から居酒屋の仕込みを始めるという過酷な二足のワラジを履いていた。ライセンスを手にして、最初に請け負った仕事は、友人の結婚式。白とピンクのバルーンで、新郎新婦の高砂を飾った。その後、居酒屋の運営は、スタッフに任せているが、一日一度は店に顔を出す。 夢を仕事に変える切っ掛けをつかんだ久松は、バルーン事業に重心を移すべく、ケアンズで見た幸運のチョウの名を取り、ユリシス社を設立したのが二年前。昨年は、自宅兼工房を新築した。「現在は、借金だらけ…」と言いながらも、奥から子供の元気な声が聴こえてきた。地元つくば出身の妻・育子の母が、手伝いに来てくれている。まさに、見直されてきているファミリービジネスのスタイルである。 結婚式場にバルーンのパンフレットを置かせてもらい、新郎新婦にタイプを選んでもらう。主に、新婦主導で意思決定されるので、都内からの注文にも夫婦で出掛け相談に乗る。「婚礼のお仕事、一生に一度の幸せの演出を手伝えるのが何より幸せ」と久松夫妻は語る。 日本では、まだ珍しいバルーンの演出。「子供たちは、100%喜ぶ。今の段階では、珍しくもあり、皆さん、喜んでくださる。パーティーにはバルーンがつきものという時代になってくれれば」と考えている。 バルーンを束ねてブーケ状にしたオリジナルギフトが好評だ。誕生日、出産祝い、お見舞い、発表会など、近場には配達する。用途や相手のイメージに合わせて、ユリシス社の工房で制作している。バルーンを、空中に浮かすためには、ヘリウムがどうしても必要なため、ユリシス社のオリジナリティーが発揮できる。造花とアレンジしてギフトにするのだ。バルーンだけだと、大人の女性には受けないが、組み合わせると装飾品になる。 二〇〇一年、サッカーのジョモカップのオープニングイベントを手伝った。八時間から十時間で、風船がしぼむので、徹夜で千五百個を膨らましてネットに入れていく。三人、十チームのデコレータ三十人による、スピード勝負のコラボレーションだった。「この時の、エキサイティングな経験から、スポーツイベント開会式で、数万個のバルーンが大空に舞う、リリースセレモニーを仕切りたい。大掛かりなモノほど、やりがいがある。できれば、オリンピッククラスの大イベントを手掛けてみたい」と、久松が夢を語る。(花山 亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略) 【会社概要】つくば市西大橋584の3。電話029・852・7767。2000年創業。結婚式、七五三などの各種パーティー会場のバルーンデコレーション。誕生日、お祝い、お見舞い等バルーンギフト。各種イベントのバルーン演出。 | |
|
|