![]() ニューフォレスター 代表取締役・星野厚さん |
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「レース」から「議会」までネット中継
投げやりな気分で入学した筑波大であったが、同期生たちの多彩でマニアックな異能ぶりにビックリ。ソーラーカーを作ってしまうなど、とんでもない趣味や能力を兼ね備えた連中を横目に、学生サークル『メガバイト』を立ち上げた。星野が仕組んだ、『ゲームフリーク』という学園祭イベントは、家族と健康をテーマにしたもの。人の動きに反応して音が出る、コナミ風の“オトゲー”といわれるゲームソフトだった。ギャラリーができ、往年のディスコブームを懐かしがって、家族連れのお父さんたちがいきなり踊り出した。 このヒットで、「企画してモノを作りヒトを熱狂させるという達成感」に星野がスッカリはまった。徐々にステップアップして、起業も考え始めたころ、経産省傘下の情報処理推進機構が『未踏ソフトウェア創造事業』で、個人にも開発の資金援助をすると発表した。「応募するしかない」と、ノートパソコンを買い込み応募用の実績作りに取り掛かった。 話題になっているフリーソフトをパソコン雑誌で調べたら、音楽の圧縮ソフトMP3に関するものが大半を占めていた。クラブイベントのDJ用ソフトが当時無かったので、プログラム言語を学んで開発に着手。『MP3―J』を完成させ、激戦区のネットベンダー『ベクター』に登録した所、三百冊以上の専門誌が星野を取り上げた。伝説作りには大成功した星野だが、のめり込み過ぎて二年生を留年。 そんな時、「先輩たちが、ガソリン車を電気自動車に改造して、つくばサーキットのレースに出ることになった」。星野は、そのレース中継をしようとネット放送システムの開発に取り組んだ。タイムラップの測定表示ソフトを作って、無線LANを使ってインターネットで中継したい。テレビ局が数千万円掛けてやっていることを、パソコン一台で編集しながら超低コストで実況中継する構想だ。 レース中継をする前に、まず走り回って、つくばの研究所に突撃し、高速回線を借りまくった。ネット時代を先取りして郵政省の肝入りで設立された『通信放送機構・つくばギガビットラボ』センター長の古賀達蔵が、「若い学生がいきなりやって来て、発想が米国みたいだ」と仰天したらしい。古賀の出してくれたポケットマネーの範囲内で、一億円を超す最新のスタジオ設備を使いまくり、星野は放送技術を身に付けた。それらの機能をパソコン上にソフトとして封じ込め、見事にレース中継をやり切った。応援団の古賀は、実はスタンフォード大でアポロ計画にも関わった元筑波大副学長という大物。星野はチャッカリ古賀に推薦人を頼み、レース中継の成果を元に、『未踏ソフト』についに応募した。 実績が欲しかった星野は、過去の最低採択予算百九十万円で申請。インターネットライブ放送のシステム開発で、二〇〇三年度、〇四年度、見事二年連続で採択された。「経産省に認められたことが大きい。それまでは信用も無かったが、親も友人も大学も認めてくれた。クラブで遊んでばかりではないと…」。卒業する時、起業しようとしたが躊躇(ちゅうちょ)。情報系の大学院に進み、ソフト開発のバイトで資本金を貯めながら、さらにマーケティングを続けた。 結果、「コンテンツよりも、配信システムにお金を出す所があるはず」との結論に至った。地方議会のネット中継システムと、学校の放送室用のネット放送システムを商品化。パソコン一台で、ワンタッチで放送開始できるようにした。余りある武器を手にした星野は、筑波大リエゾン共同研究センター(ILC)の『創業支援プロジェクト』として教官と並んで認可された。今年二月、メンバー三人のイニシャルを冠した社名で、念願の創業を果たした。(花山亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略) 【会社概要】つくば市春日4の24の18。研究所・つくば市天王台1の1の1産学リエゾン研究センター307。電話029(853)5835。2005年2月創業。資本金960万円。インターネットテレビジョン放送事業および有線ラジオ放送事業映像やコンテンツの制作、配信業務。その他ソフト開発。http://www.newforestar.com/ http://www1.accsnet.ne.jp/~hossy/ | |
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