![]() 林創研代表取締役 林徹さん |
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TXと秋葉原のジャンクショップ
そもそも『生物物理』の概念は、量子論のエルビン・シュレディンガーが、1951年に出版された『生命とは何か』という本の中で提起したと言われる。生命現象と言っても、その基本は物理化学的な物質現象であり、生物学の研究手法には物理学的アプローチが寄与するとの考え方だ。 その現場を、少しだけ覗いてみよう。林は、最初に就職した株式会社日本抗体研究所で、『抗原抗体反応』を『螢光偏光解消法』という、光を利用する方法で、短時間に検出できる装置の開発を行った。螢光分子を張り付けた分子の回転運動(ブラウン運動)は、その『抗原』(体内侵入細菌)と『抗体』(抗原と結合して無害化する)が合体することで当然体積が増え、『速度は分子の体積に反比例する』ので回転速度が遅くなる。抗原抗体反応が起こったかどうかは、この回転速度を測定することによって検出できる事になる。 獨協医科大に移り、さまざまな手法によるバイオ測定・解析業務をこなす。立教大で『生物物理』を最初に教えてくれた恩師の石坂昭三が、筑波大教授に赴任したのをきっかけに、筑波大・生物科学系の技官となる。 その後、株式会社ユニソンでは、走査線トンネル顕微鏡の製作を行い、そして、サラリーマン最後の仕事は、日本真空技術株式会社から出向で『板谷固液界面プロジェクト』(JST)の技術参事官。 「一番困ったのは、自分の欲しい実験装置がなかなか無いし、頼んでもかゆい所に手が届くものができないですよね。日本はモノ作り世界一といっても、規格品を大量生産することは得意だが、こういう一品料理をやるのは、かなり劣っているのだという事が分かってきた。欧米でいう『テクニシャン』がいない。この分野なら自分の経験を生かしても行けるだろうし、食っても行けるだろうと考えた」 半径十キロ以内。林のオフィスがあるつくば研究支援センターからみると、高エネ研から牛久までの、三十分で行ける範囲の顧客にターゲットを絞っている。量販店でもないのになぜエリアマーケティングを? 「打合せがとても大切なためです。この業界は日進月歩なので、一年前に納めた時のものは、次の実験には使えない。今回の注文の装置は、自分だけでできるか?この人にSOSを出せば何とかなるかとか、ネットワークを総動員する」 多様な職歴と宇都宮出身という地縁もあり、ランチの相手には困らない。 「先生方は、自分の構想した実験で成果をあげたいのですから、それをやれる装置がどうしても作りたい訳です。だから、一生懸命説明してくれる。もちろん、そこで、私が知ったかぶりをしたらダメですが、チャンと聴けばシッカリ教えてくれる」 林の人柄なのか、納品後は、得意先のつくばの研究者たちが、林のSOSに答えてくれるアドバイザーになったりもする。 受注の仕事で稼いで、林創研ブランドの製品を開発・販売するのが夢。特許を取って創造法の認定を受けた『デジタル制御共焦点走査線顕微鏡』の開発に取り組んでいる。試作器さえ完成すれば、大手メーカーに持ち込み、商品化の道も開ける。幸せってなんだろう? 「TXが開通すれば、二―三時間空けば、何時でも、学生時代のように、秋葉原のジャンクショップを、部品を求めてグルリと一周歩くことができる」社長となった林が、出張許可を得る必要はもうないのだから。 (花山亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略) 【会社概要】本社・つくば市千現2の1の6、つくば市研究支援センターC棟A―5。1999年8月17日創業。資本金・1000万円。研究用実験機器設計製作。http://www31.ocn.ne.jp/~lin_so_ken/ |
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