![]() アイカンタム 代表取締役・渡辺純一さん |
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アカデミックな「山師」
今や観光地化した丸ビルの皇居寄りの丸の内三井ビルに、経済産業省と文部科学省の共管でベンチャー企業創出の拠点として、五年限定で設立された『ベンチャー開発戦略研究センター』。スタートアップ・アドバイザーの肩書きで七件程の案件を手掛けてきた。「文部科学省科学技術振興調整費『戦略的研究拠点育成』事業」として展開される『日本型ベンチャー創出システム』の確立を目指すこのプロジェクトは、国策ベンチャーとの声が聞こえてきそうな官僚主導かと思いきや、渡辺のキャリアは意外なものであった。 そのユニークさと歴史的な経緯からMiningCollege(鉱山大学)として世界的に有名な秋田大学の大学院鉱山学研究科で応用地球物理学を専攻した。言わばアカデミックな山師である。博士号を取得してアカデミアに住み続けることも考えていた渡辺の元に、当時、理科系には珍しい商社からの求人が舞い込んだ。エコノミック・アニマルの代名詞として、世界を席巻した総合商社は、『ラーメンからミサイルまで』を合言葉にさまざまの事業をエネルギッシュに展開していた。伊藤忠が渡辺に与えたミッションは、サハリンの天然ガス開発であった。 「商社のテクニカルアームとして、まだ、走りだった、天然ガス利用のマスタープランを策定。LNG(液化天然ガス)を売りに、企画開発部長のカバン持ちで大阪ガスに行っていた」。そのうち、年俸制でスカウトされ、大阪ガスがスタンフォード研究所と提携して京都に立ち上げた受託研究所、KRI(旧称・関西新技術研究所)に参画。東京のコンサルティング本部へ。 「クセのある研究者を連れては、企業に行き分かりやすく翻訳して売りこんだ。さらにマーケティングを重ね、ビジネスモデルを提案。今となっては、その時の経験と現在の業務が重なる」。三十人程の陣容を独立採算で人事権を持ってやってきた。この中で、旧電総研の成果の海外マーケティングをコンサル支援したのが、現職の始まり。 アイカンタム社で手掛ける事業は、一般人にはピンとこないモノばかりだが、要は、超伝導や分子磁性計測などのハイテク分野である。高額な輸入品を買わされているこの分野で、日の丸ブランドを立ち上げたいとの研究者達の宿願があった。我々の生活に直接関係してくるのは、アルツハイマーの診断方法など、脳の研究に寄与する技術のようだ。 昨年秋、フロリダで開かれた超伝導国際会議で開発者の東海林彰(同社取締役・CTO)が産総研の成果として展示し、まもなくベンチャー企業化するということが、最終日に撤収作業をしている中の取材で専門誌に取り上げられた。「この分野で世界の市場シェアを寡占する米国企業や中国に販路を持つ商社から問い合わせがあり、極低温磁性を〇・五Kまで拡げ、未踏領域を測定可能にしたと評価され、早くも商談が始まっている」。「『SQUID磁束計用ヘリウム3冷凍システム』・『AC―DCトランスファー標準システム』・『プログラマブル電圧標準システム』の三本の柱で事業化し、大手が悔しがるような仕事に持っていきたい」。 「自分が役に立っているか。自分との関わりのあるモノが、社会の役に立っているか。結果として利益をあげて好循環を生み出し得るのか。人との比較ではなく、絶対的な価値として、自分の事業を通して、人が幸せになるには…」。渡辺の問いかけは続く。(花山亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略) 【会社概要】本社・つくば市梅園1の1の1、産業技術総合研究所・中央第2本館A―212―2。2004年11月25日創業。資本金・250万円。各種計測機器、電子機器の研究開発、製造、販売、輸出入や受託開発並びにコンサルティング。http://www.iquantum.jp(製作中) |
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